宮大工棟梁 西岡 常一氏の言葉

2013.9.21  竹林便り 

ぎょうさん木が生えている森の中では、種が落ちても芽を出す機会はなかなかありません。

種自身は芽を出したい、出したい思っているんでしょうが、そうは簡単にいきませんわな。

第一、日が当たりませんのやから。それが何かの拍子に上の木が払われたら、わっと、

いっせいに芽が吹いて競争が始まるんですな。日が当たるようになると、ぱーっと出る。

こうした状態を「 芽ばってる 」というんですな。手ぐすねを引いて待っているという状態

です。そうやって百年も待っていた種が芽を出しますのや。

 後は厳しい競争ですわ。

 とにかく競争を生き抜かんことには、千年、二千年という木には育ちませんからな。

  「木のいのち木のこころ(天)」より抜粋 著者 西岡 常一  聞き書き 塩野 米松(草思社)