未来の川のこと

2015.9.16  竹林便り 

栃木県、茨城県、宮城県の集中豪雨による被災者の皆様方に 心からお見舞い申し上げます

茨城県常総市を流れる鬼怒川の堤防決壊では 甚大な被害が住宅地そして収穫を目前に控えた農耕地を襲いました

また宮城県大崎市の渋井川も20メートルに渡って決壊しました

今後このような未曽有の災害に いったいどのような対策を取っていくのか

ニュースを見るたびに 考えさせられます

近年 災害の前に必ずと言っていいほど付いて回る「記録的」「これまでに経験したことのない」という言葉の持つ意味を

そろそろ真剣に考える時節に来ているように思います

「竹づくし文化考」著者 上田弘一郎氏 (発行所 京都新聞社)より抜粋

河川の堤防を護る竹林と水害防備の実例

洪水による河川の堤防決壊を沿岸の竹林が防ぐことについては、先覚者が見抜いているところであり、「水害防備竹林の造成史」の項でふれた。ところで、ここでは竹林造成が主となっており竹林の防災効果については実際例が必要なので、本項を設けて河川堤防の決壊と竹林の機能について、大戦後のはっきりとした主な実例をあげよう。
①昭和28年6月の大水害。この時の台風は全国を襲ったヘスター台風である。各地の河川氾濫でかつてない大被害をもたらした。このとき私は助手の協力を得て、全国の主要河川を先人の偉業を偲びながら調べてまわった。この結果は『水害防備林』に発表した。かいつまんでいうと、堤防決壊で大きな被害を受けた120か所のうち、100か所は川端に竹林のないところであった。沿岸に竹林のあるところは被害を免れたが、このうち竹林があっても被害をうけた20か所は老竹や細竹の多い悪い竹林で、とりわけ竹林の幅が狭いか、竹林の中を伐りひらいた横断の道路のあるところであった。沿岸に幅広い良い竹林で固められたところは安全で被害がなかったのである。

②昭和51年9月の台風で、岐阜県の長良川と揖斐川のコンクリート堤防も決壊して甚大な被害をうけたが、川岸に良い竹林のあるところは決壊を免れた。

③昭和57年7月23日、長崎を襲った台風において、長崎市東部を流れている八郎川は氾濫、堤防は決壊して大被害をうけた。しかし沿岸にメダケの群生するところは、堤防は無事であった。そして竹林の威力を見せつけ、住民に感動を与えたのである。

④昭和57年8月1日の10号台風では、京都の保津川の氾濫で、亀岡市では、竹林のない堤防は決壊して大被害をうけたが、マダケ林のあるところは決壊を免れ、被害はなかった。

竹林の管理

いつだったか竹林の立つ堤防が壊れたとか、竹林のあるところに山崩れが起きたなどと、鬼の首をとったかのように知らせてくれた人があった。竹林でさえあれば、どんな竹林でも強い防災力があると思うのは、とんでもない間違いである。
「実例」のところどころで述べたように、強い防災力のある竹林とその管理方法は、次のとおりである。
①竹林は常に若くて良い竹を立てること。これは最も大切な伐りすかしであり、ふつう、若い竹というのは、大きくなる種類では生えてから5~6年以下、細い竹の種類は3~4年以下で、これ以上の年齢の竹は老齢であり、毎年か隔年に伐って利用する。すると元気な良い若竹がたくさん生えてくる。枯れるまで立てておくと、生産力が衰え、防災力が弱くなる。長く立てておく木の林とまったく趣を異にする。だから竹林では毎年、老齢な竹を伐りとらねばならないが、木の保安林は禁伐となることを知っておきたい。このことは庭竹づくりでも同じである。

②面積について。
堤防を護る竹林は、幅20メートル以上、長さは長いほどよいが、とりわけ流れの強く当たる部分を中心に防備を固めることが大切である。山崩れを防ぐには、少なくとも1ヘクタール(100メートル四方)の竹林が望ましい。地震に対しては、平地では10アールでも効果があるが、多くの人の逃げ場には狭い。傾斜地では山崩れのことを考えねばならず、1団地の竹林は1ヘクタール以上が必要である。

About the future of rivers

Recently, there had been reports of banks collapsed due to the heavy rains occurred in Ibaraki and Miyagi prefectures.
I would like to express my sincere sympathy to all of the disaster victims.
The Kinu river is a river runs through Jousou city, Ibaraki prefecture, and the floodwaters have swallowed up the surrounding residential areas, paddies and fields.
Moreover, the broken levees around the Shibui river in Osaki city, Miyagi prefecture stretched twenty meters.
I am anxious about the river's futures whenever I hear such news.
I have often been hearing the word "record breaking… " in these news, in regards to, natural disasters in recent years.
I think it's about time for us to think about these matters seriously.